療養・育児・介護で報酬が急減した場合の標準報酬月額の特例について

2026.11.02

労務

療養・育児・介護で報酬が急減した場合の標準報酬月額の特例について

令和9年1月から、療養・育児・介護と仕事を両立するために勤務時間を短縮するなどして報酬が大きく下がった従業員について、
健康保険や厚生年金保険などの社会保険料を計算するための基準となる標準報酬月額を通常より早く改定できる特例が始まります。 新しい特例の内容と、これまでの「通常の月額変更(随時改定)」「育児休業等終了時の月額変更」との違いについて、以下の
とおりお知らせいたします。

1.新しい特例の概要

通常の月額変更では、報酬が下がってから標準報酬月額が改定されるまでに3ヶ月かかり、その間は下がる前の標準報酬月額で保険料が
計算されます。新しい特例では、報酬が下がった月の翌月から標準報酬月額を改定できるため、通常より2ヶ月早く、実際の報酬に合った
保険料になります。
<対象となる方>
 健康保険・厚生年金保険の被保険者(厚生年金保険の70歳以上被用者を含む)のうち、次のすべてに該当する方
 ・療養、育児または介護と仕事を両立するため、所定労働時間の短縮や残業の抑制などの就労調整を行っていること
 ・就労調整により報酬が急減し、標準報酬月額が従前より2等級以上下がり、その状態が3ヶ月以上続く見込みであること
 ・特例による改定について、本人が書面で同意していること 
<対象となる療養・育児・介護>
 療養:本人の病気やけがの治療のほか、家族の治療に伴う看護なども含みます
 育児:小学校入学前の子の養育
 介護:要介護認定または要支援認定を受けている家族の介護 

2.3つの改定方法の比較

報酬が下がったときに標準報酬月額を改定する方法は、次の3つです。

3.事業主が確認しておきたいこと

特例の開始に向けて、まずは次の点を確認しましょう。 

 ① メリットとデメリットを本人に説明
標準報酬月額が早く下がることで、毎月の保険料負担や高額療養費の自己負担限度額が軽くなります。
一方で、傷病手当金・出産手当金の額や将来の老齢厚生年金の額も下がります。特に療養中の方は、その後に傷病手当金を受ける
可能性も踏まえて説明することが大切です。
② 就労調整の仕組みを確認
育児・介護には短時間勤務などの制度がありますが、療養については両立支援のための短時間勤務などの制度がない会社も多くあります。
療養を理由とする就労調整をどのように申し出てもらい、記録するかを、就業規則とあわせて確認しておきましょう。
③ 書類の保存と増額改定の管理
特例を利用した場合は、療養等の事実を証明する書類などを届出日から2年間保存する必要があります。
また、就労調整が終わって報酬が戻り、2等級以上上がった場合は速やかに増額改定の届出が必要になるため、対象者の給与の推移を継続して
確認できるようにしておきましょう。

4.その他

具体的な手続きは、今後、日本年金機構や各健康保険組合から案内される予定です。
制度の詳細は、厚生労働省の通知「療養、育児又は介護により報酬が急減した者についての健康保険法及び厚生年金保険法の標準報酬月額の
保険者算定の特例について」をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001731743.pdf
(※1) 特定適用事業所の短時間労働者を除く通常の労働者の場合です。特定適用事業所の短時間労働者は「17日」を「11日」と読み替えます。 (※2) 特例では、療養・育児・介護のための就労調整で勤務しなかった日も、所定労働日数を変えておらず雇用が続いていれば、給与の支払いがない日を含めて
支払基礎日数に数えます。そのうえで17日(※1)に満たない月は、特例の対象外となります。 (※3) 3歳未満の子を養育する期間に標準報酬月額が下がっても、本人の申出により、養育を始める前の標準報酬月額で将来の年金額を計算する仕組みです。
詳しくは日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」をご確認ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20150120.html

その他、ご不明な点がございましたら、弊社担当者までお問い合わせください。 
MAC社会保険労務士法人 http://www.mac-g.co.jp/ 〒450-6421 名古屋市中村区名駅三丁目28番12号 大名古屋ビルヂング21F TEL:052-433-8820 FAX:052-433-1308

税理士 野村健典

野村健典 (のむら・たつのり)  社会保険労務士(MAC社会保険労務士法人代表社員)

所属:MAC社会保険労務士法人/名古屋本社/経営支援部

MAC社会保険労務士法人の代表社員として、労務トラブル対応、M&A・組織再編に伴う人事労務支援、労務監査を担当。愛知県を中心とする東海地域の中小企業に対し、労務リスクの改善、就業規則や労務管理体制の整備に加え、M&A・組織再編時の雇用契約、処遇制度の整理などに関する支援に従事。

専門分野: 労務トラブル対応、M&A・組織再編に伴う人事労務、労務監査

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